本サイトでご紹介している「越境リーダーシップ」プロジェクト。そもそも「越境リーダーシップ」プロジェクトとは、どのようなプロジェクトなのか。このプロジェクトが発足された社会的背景と、目指す姿について、本プロジェクトのクリエイティブジェネレーターであり、ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社 執行役員の三浦英雄氏のお話を中心に、ご紹介します。
越境し、共創することで、組織にいるからこそ生み出せる価値がある
今、社会に起こっている課題の多くが単一の組織や事業体では解決できなくなってきています。行政や国、企業。そういった境界を越えて、それぞれが知見を寄せ合って、社会の課題解決に取り組むことで、今まで出来なかった展開が拓ける。新たな価値をつくることができると考えています。
「越境リーダーシップ」プロジェクトは、企業・組織の中で想いのある個人が、社会的な課題解決に取り組む。もしくは、これから必要となる、願う未来の実現に向けて価値を創る行為を応援するための実践研究プロジェクトです。
新しい価値をつくるときに、会社を辞めて起業したり、個人で活動する方が早いこともたくさんあります。ただ「社会的な価値をつくる」そして「大きな社会的なインパクトをつくる」ことを目指した時、“経済”が重要になってきます。
社会構造の変革期には、様々な課題・歪みがうまれ、何を得るには何かを失う、といった様々な領域でトレードオフが生れます。社会に新たな選択肢を創造し、調和をもたらす。社会の進化を実現する必要があります。企業にいるからこそ、活用できる多様で豊富なリソースを活用して、大きな社会的なインパクトをつくることができます。そして、新たな市場・産業に発展していく可能性もあるのです。しかし、そのような取り組みにチャレンジしている人はまだまだ多くはありません。企業の可能性や培ってきた強みを、どのように使うことで、社会的な価値や、事業的な価値を最大化できるのか。個人の想いからチャレンジすることで、行政や国という境界を越えて大きなうねりをつくれる。企業の中にいるからこそ、できることもある、と思っています。
越境リーダーが孤独に闘うのではなく、ネットワーク化され、共創していく
慶應義塾大学 総合政策学部 教授 井庭 崇
「越境リーダーシップ」を可視化していく上で、本プロジェクトのパートナーとして、パターン・ランゲージを活用した実践研究を支援してくださった井庭教授。パターン・ランゲージを活用することで、「越境リーダーシップ」にどのような影響を与えるのか、ということについて、話を伺いました。
「パターン・ランゲージは経験則を言語化するものなので、越境する人たちが孤独に闘うのではなく、他の越境した人の知恵や経験則を借りる。そして自分が得た経験則を他の人に使ってもらう。こういうことをしながら越境リーダー同士がネットワーク化されていく。そして、それぞれのチャレンジを共創的に成功させていく。そのためのツールとなるのがパターン・ランゲージです。パターン・ランゲージが様々な分野でつくられていくことで、『他の人が一緒に組んで何かを成し遂げる』ということが、実現しやすくなり、より多くの分野・コミュニティ・組織で面白いこと、創造的なことが、たくさん起きてくると思います。」
新しいリーダーシップの波が来ている
一橋大学イノベーション研究センター名誉教授 米倉 誠一郎
本プロジェクトのエグゼクティブアドバイザーを務める米倉氏は「越境リーダーシップ」プロジェクトの意義について、このように語ってくださいました。
「“オープンイノベーション”というのは何かというと『何かをオープンにすれば、新しいものが始まる』ということではなく『何か一つ、やりたい“志”があって、それに足りないものは全部、外から集めてきて物事を成し遂げる』ということです。やはり、一人ひとりの想いがなければ、それは簡単には実現しません。個人に蓄積された、経営資源。それを多重利用すれば、まだまだこの国には余剰があると思います。自分たちのボーダーを越えて、外にリーダーシップを発揮していく。新しい波が来ているな、という気がします。」
未来をつくるのは主体的な個人である
「未来をつくるのは主体的な個人である」と私は思っています。ですから、自分の想いや、自分が感じること、自分がこうしたいという意志、願う社会ビジョンに基づいて、自分が持っているリソースを最大限に活用して、社会を良くしていく。課題を解決していく。こういった自らの想いを行動にうつす人たちが増えていくことで、その人たちが繋がりあって新しい価値をつくる、そんな土壌になるような取り組みにしていきたいと思っています。
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