「社会課題を解決するチェンジメーカー×航空移動支援」社会起業家の翼となりグローバルブランディングを行う

世界の問題解決をユニークな発想で、世の中の仕組みそのものから変革を起こしている社会起業家の人たちとタイアップして、ANAは航空移動費を支援し、一緒に世の中を変えていくストーリーを拡散し合う、ANAの海外向けプロモーションプログラム「Blue Wing」を起案し、運営している深堀 昂氏。彼がどのような想いから、何を目指してこの取り組みを始めたのか。その原点と、これから目指していくことについて伺いました。

航空移動のハードルを下げることで、世の中をもっと変えられる

現在取り組まれているのはどのようなことでしょうか

ANAは「Blue Wing」を通じて、多くの人々に社会起業家の世の中を変えるストーリーを発信しています。サイトを通じてチケット購入することで、1%が活動費として提供されます。世界各地への移動に航空機を利用することが多い社会起業家の航空移動を支援し活動の手助けをします。

私たち国際線の拡大を目指していますが、まだまだ海外での認知度は低い状況です。社会起業家にソーシャルネットワーク等を通じて、このプログラムを積極的に発信してもらうことでANAの国際的な知名度を高める、WIN-WINの関係で運営しています。

何がきっかけとなったのでしょうか

私は入社3年目、パイロットの操作手順などのマニュアルを作成する部署に所属していました。同年に一橋大学名誉教授の石倉洋子さんが主宰する「グローバルアジェンダゼミナール」(世界的な課題を英語でディスカッションするグローバル人材育成プログラム)に参加し、ゲストのNGO「ルーム・トゥ・リード」の代表、ジョン・ウッド氏との出逢いがきっかけです。

彼の世の中を変える情熱と自信溢れるビジネスプレゼンテーションに感動し、お話したところ、Twitterのフォロアーは33万人で世界に影響力がある。聞けば年間のフライトは300日に及び、費用はファンドレイジングで賄っている。そこで、Blue Wingのコアになるアイデアを思いつきました。「あなたのストーリーをぜひANAのお客様にも知ってもらいたい。ANAが航空移動をサポートし、あなたがそのことをソーシャルメディアで発信するのはどうですか?」と尋ねたところ、その場で「おもしろい!」と言ってくれました。

それから、国際問題に取り組んでいるNGO、NPOの代表の方々に会いに行き、ヒアリングしにいきました。みんなもの凄く飛行機を利用されていて、払っている額も巨額だということがわかりました。Blue Wingのアイデアを「おもしろい!」と。航空移動のハードルを下げることで、世の中をもっと変えられるんじゃないかと確信に変わっていきました。

新しいことは9回チャレンジして10回目に成功するもの

具現化するまでにどのようなことがありましたか

石倉さんもこのアイデアをおもしろいと共感していただきました。かつてANAのアドバイザリーボードを務められていたこともあり、なんと会長と社長へ手紙を書くサポートを買ってでてくださったのです。そこで企画をCSR部門へ説明する機会を得ます。しかし、結果は、おもしろくないと言われました。

まだアイデアも分析も荒削りだったので、改めてプレゼンさせてくださいとお願いしました。それから5ヶ月間時間をもらい、社外社内のいろんな人に会いに行ってリサーチ、説明してフィードバックしてもらうことを繰り返して、良い反応が得られる内容に仕上がってきました。そして、もう1度プレゼンします。結果は「Noではないが、Yesと言えない」と言うニュアンスの回答でした。

石倉さんに残念ながらダメでしたと結果をお話すると、「そんなこと普通ね。新しいことは9回チャレンジして10回目に成功するものなのよ。あなた何回失敗した?」と言われました。それで、もう少し頑張ってみようと思いました。

それから石倉さんがANAのアドバイザリーボードの委員長だったウシオ電機の牛尾会長に相談してくださり、「企画持っていく先はCSRではなくブランディングもしくはマーケティングだ」とアドバイスくださいました。それからブランディング担当、マーケティング担当へプレゼンし、「おもしろい」と評価を戴き好感触でしたが、まだ足りないものがあり承認には至りませんでした。

その後、マーケティング部門に再度プレゼンし、会社の正式なプロジェクトとして動く目前まできました。最後の後押しとして、バーチャルハリウッド制度という既成概念にとらわれないアイデアを企画し、部門や仕事の境界を越えて有志を募る社内制度に応募しました。そこで一緒に何かしたいと熱い想いをもった27名が集まってくれたんです。ここから1人ではなく、チームで取り組むことができるようになったことが、大きなパワーと推進力になりました。

飛行機に乗ったことのない人を社会起業家が支援することで彼らの未来が拓ける

これから大切にしたいことはどのようなことですか

技術系で大の飛行機好きなので、飛行機を通じて世界中の人たちと夢と感動を与えたいという想いでエアラインで働くことを決めました。現実は世界には飛行機に乗ったこともない、見たこともない人たちがたくさんいます。私はその人たちに対してもANAを通じて夢と感動を届けたい。そう想っていました。その方法の1つが「Blue Wing」でした。飛行機に乗ったことのない人に、医療であったり、教育であったり、必要な取り組みを社会起業家が支援することで彼らの未来の可能性が拓けます。

支援を受けたこどもたちから、将来ビジネスで活躍する層の人たちがでてきて、日本に出張で来たときに、「青い飛行機を教室で見たことがあるな」と思いだし、実は自分が教育を受ける機会を「Blue Wing」が支援していたことを知り、「Blue Wing」のサポーターになっていく。そんな循環が世の中に起きている世界を空想しながら、辛い時に自分を奮い立たせていました。

ANAに限らないと思うんですが、エアラインは「お客様を定時に安全に目的地までお運びする。」という共通の目標にみんな同じ方向に向かって、何万という人たちがチームで動き、突き進んでいます。そんなチーム、仲間が私は大好きです。飛行機を通じて世界中の人たちと夢と感動を与えたいという想いを共にするANAの仲間と世界をより良く変えようしている人たちとを繋ぎ、これからも飛行機を通じて世の中を良くしていく活動をしていきたいと思っています。

EKK-2

まとめ

深堀さんは業務外の活動を4年間諦めず継続した末に、実現させました。その陰の功労者の1人は直属の上司の方だと言います。深堀さんは本業以外で上司にBlue Wingを挑戦したいという想いを伝えたとき、こう言われます。

「新しいことをやるとき、周りはみんな見ている。そして担当業務が1%でも疎かになったと思った瞬間に、みんなそこを叩く。残念ながらそれが現実だ。きつくても本業を120%で頑張りなさい。そうすれば、Blue Wingもうまくいく。」彼は本業120%、そしてBlue Wingを100%のエネルギーで取り組む覚悟で始め、常に意識して活動しました。「その前にやることがあるだろ」そう周りに言わせない姿勢があったからこそ、周りの協力と応援を引き出し、4年間継続できたのかもしれません。世界の翼として活躍の場を広がっていくことが楽しみです。


深堀 昂 Fukabori Akira

全日本空輸株式会社
マーケティング室 マーケットコミュニケーション部
ANA Blue Wing https://www.ana-bluewing.com/

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