越境リーダーシップジャーニー

自分の感性、感覚を研ぎ澄まし、直感から未来をうみだす
1年に1度、自分自身と向き合うリーダーシップの旅をしよう

見えなくなっていた自分を取り戻せた原体験

社会人になってから定期的に八重山諸島を巡り、自分の感覚を取り戻し、自分自身と向き合う時間をとっています。

その活動のきっかけとなったのは社会人2年目のことでした。当時、仕事もプライベートも思うようにいかず、大きなストレスを抱えていました。世界の美しい海に興味があり「はじめは日本で最も美しい海を旅しよう」と思い切って10日間休みをとり、一人で八重山諸島に旅に出かけたのです。旅を終え、東京に戻るときには悩みは吹っ飛びエネルギーに満ちている自分に気づきました。

今思うと、その時は周囲の評価や基準に応えようと疲弊し、自分が見えなくなっていたんだと思います。それをとっぱらって、自分の方向感や在りたい感覚を取り戻せた。道中で心に浮かんだことに従って動いたことで、局面は変わっていったのです。

その体験から、一年に一度、自分の心を整え、将来を描く一人の時間を八重山諸島でつくっています。どんなに仕事が忙しくても、結婚しても、子供が生まれても、時間を確保しています。(理解してくれている妻に感謝です。)そして、この活動が今では人生に大きく影響している大切な活動になっています。

「自分と向き合う時間をつくること」と「事業創造」との関連性

組織にいながら越境し、新たな価値ある事業を創造する。そして社会的な意義を感じるほど、同じ目的で共感し動く仲間がいるほど、自分の情熱、エネルギーをたくさん注ぐことになる。でも自分が信じる道でさえ「これでよいのだろうか?」と迷うことや不安になることもある。

始まりは周囲に理解されないことも多い。外からの評価や障害に一喜一憂することもある。乗り越え、進んでいく時にはストレスも抱える。しかし本来、もっとも耳を傾けなければいけないのは、顧客でもなく、社長や上司でもなく、「自分自身」ではないだろうか。

なぜなら新規事業をつくることが目的ではなく、自分の生き方として、どう在りたいか。この世界で何を成すのかが大切だから。だから頭で考えるだけでなく、自分の感性・感覚を研ぎ澄ませ捉えていくことが大切になる。そして自分や家族、仕事、そして社会が繋がり調和した状態が、持てる力を最大限発揮し、世界を変えていく力になっていく。

事業創造にかけるエネルギーは膨大で時間に追われることもある。そして忙殺されるがあまり、自分を見失いかけることも少なくない。だからこそ一年一度、自分自身と向き合う旅に出かけてもいいのではないだろうか。個人でやっていたことと越境リーダーシップでの活動が次第に私の中でつながるようになっていきました。

「個人の孤独」と「他者との対話」のバランスを重視したリーダーシッププログラムをつくってみたい

普段、一人でこの活動をしていたときは、旅の前半は心の向くままに過ごしていました。

・海に潜り、身を委ねる
・深い森を探検する
・海に沈む夕陽を静かに眺める
・星空を眺めて思いを巡らす
・旅先の出会いを楽しむ

そうすると、閉じていた自分の意識や淀んだ感性がアクティブになり、開けてくる感覚を覚えます。自分が今、何を感じているのか、だんだんわかってくるのです。

海の中でスキューバやシュノーケリングをしていると、自分の呼吸音しかしない無音の世界です。素晴らしい海の中の世界をみながら、ゆっくり呼吸をしながらたゆたゆと、心が落ち着き「今」に意識が向きやすくなります。

自分の感覚を感じられるようになってから、旅の後半は、その時の自分に合わせた「問い」を設定して、内省の時間をとります。歳を重ねると、役割が広がり、することも増え、見える世界も広がります。合理的に論理的な判断は、時として選択肢を狭くし、本当はしっくりときていないこともあります。

・いまの自分はどんな状態なのか?
・自分が大切にしたい目的、価値観、才能は何か?
・将来の時間軸を考えたとき、どんな生き方をしていたいか?
・自分の人生に起きているトレードオフ(家庭or 仕事など)は何か?創造的に解決する選択肢を創れないか?

こんなことを、内省します。

孤独になり、自分と向き合う時間を持つことは、自分の感性、動力に従って、生きるうえで欠かせないことです。しかし、一方でずっと足りないと感じていたことがありました。それは「対話」です。発見したこと、見えたビジョン、取り組みたいことが明確になったことを誰かと話し、共有することができない。

人に話すことで整理されるし、多様な視点があることで、更に気づきが豊かになるのでは?

「ともに価値創造に挑み、志す仲間と過ごせたら、個人間の相互影響も起きそうだ。」とワクワクする気持ちがとまらないくらい、その様子が絵に浮かび、「個人の孤独」と「他者との対話」のバランスを重視したリーダーシッププログラムを試しにつくってみようと思い立ちました。

心のままに、自由に動く 旅するリーダーシッププログラム

そして、2017年、八重山諸島の島ごとにふさわしい「テーマ」を設定し、島を巡り、旅をしながら自分と向き合う価値創造実践者向けのセルフリーダーシッププログラムをつくり、試すことになりました。

せっかく自然豊かな島にいるのに、室内にいる時間が多くなったり、自由を拘束されたりするスタイルは窮屈です。だから、朝に問いの共有とイントロダクションを行い、日中は個人の自由裁量で心のままに過ごす。そして、陽が暮れてみんなで夕食をとった後、内省を深め、対話する形式をとりました。

2017年のプログラムデザインの概要はこんな感じです。

旅の様子は越境リーダーシッププロジェクトのfacebook pageでもご覧いただけます。

一人で行っていたときよりも創造的で豊かな時間が過ごせた

  • 自分の感性に素直に行動することができた。自分の五感が開いていく感覚を体験した。
  • 自然と語り合うこと、人と語り合うことの中で自分をあらためて見つめ直すことができたこと。自分にとって大事なもの、自分にとって必要でないものがよく見えた探求の旅だった。
  • 自分のミッションの再確認と決意ができた。素晴らしい仲間と寝食を共に人生を共有できたことは貴重な体験だった。沖縄の自然を満喫できた。
  • 戦争マラリアの碑を目にし、アフリカでの原体験に次ぐ衝撃を受け、すべき事がクリアになった。大自然に身を置き、ひたすらにリラックスする貴重な機会だった。

これらは実際に参加した人たちからもらった言葉です。私自身も一人で行っていたときよりも創造的で豊かな時間を過ごすことができました。

今回は八重山諸島に行きましたが、遠くの場所である必要はなく、自分が自然体でいられる好きな場所があればどこでもいいと思います。日常で自分の時間をとることが難しい時こそ、あえて1年に1回でいいから、自分自身のために、自分自身と向き合う時間と環境をつくってみてください。

起業や新規事業など価値創造に挑んでいる人はもちろん「単身からパートナーと生活する」「こどもが生まれ、家族が増える」「仕事の立場が変わる、責任が大きくなる」「人生の役割が増える」などのライフステージにいる人にお勧めです。

その時間はあなたが幸せな生き方をするための大切な心の羅針盤となってくれるはずです。自分の大切なことを実現するために何かをトレードオフして諦めるのではなく、調和のとれた人生を過ごせますように。

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